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"Robovie"の開発



Robovie(ロボビー)は将来的に日常生活の場で活躍するロボットをイメージして、ATRで開発された、
コミュニケーションに必要な最低限の機能を持つ自律型知能ロボットです.
車輪移動機構、視線制御可能な二つの目、 体表面に接触センサ、そして人間に似た自由度の腕と頭部を持っています.

我々はこのロボビーを用いて、人間との自然なコミュニケーションを目指した人型知能ロボットの基礎研究を行っています.またその研究成果をロボビーの開発にフィードバックし、状況依存モジュールによる開発手法に基づいてロボビーの開発をすすめています.
つまりロボビーが、我々の研究の出発点であり、研究成果を反映させる帰着点でもあるのです.


ROBOVIE
サイズ 直径60cm,高さ120cm
稼働部 頭部(3 DOF)、頭部カメラ内眼球(2 DOF x2)、腕(4 DOF x2)移動機構(Pioneer 2) (2 DOF)、スピ・[カ
センサ 両眼カメラ、全方位カメラ、接触センサ(胴体部、腕、移動機構下部 計26箇所)、超音波センサ(24箇所)、マイクロフォン
OS Realtime Linux
ソフトウェアアーキテクチャ Situated module architecture
状況依存モジュール数 100


発表論文 (PDFファイル):

  • 研究用プラットフォームとしての日常活動型ロボット“Robovie”の開発
    (信学論, Vol.J85-D-I, No.4)
  • Development and Evaluation of Interactive Humanoid Robots
    (Proceedings of the IEEE 2004)
  • フィールド研究



    人間社会での、コミュニケーションロボットの応用可能性を見いだすために、「小学校」「科学館」や「駅」といった実フィールドで活動するロボットの社会実装を進め、フィールド研究を行っています.


    BUTTON
    小学校

    [実験1]

    Robovieは外国からの転校生のように,小学校の中で英語のみを話しながら子供たちとふれあいました.個人識別のための無線タグ(RFIDタグ)を利用して,子供達の名前を呼ぶといった行動が、特に人気でした.
    1年生と6年生へのそれぞれ2週間の実験の結果、ロボットと遊んだ事が直接的/間接的に子供たちの英語聞き取り能力向上に貢献したことが分かりました.一方で, 1週間程度で飽きられてしまうこと,また実環境でのセンシングの難しさといった問題に直面しました.

    発表論文 (PDFファイル):
  • Interactive Robots as Social Partners and Peer Tutors for Children: A Field Trial
    (Human Computer Interaction, 2004.)
  • 日常生活の場で長期相互作用する人間型対話ロボット
    (日本ロボット学会誌 2004)
  • [実験2]

    ロボットが人間と友好的な関係を築き,そして目の前にいる人間と人間がどのような関係あるか理解することは, 今後ロボットが社会的な存在として人々に受け入れられるための基本機能になると予想されます.
    この実験では、 二ヶ月間と長期にわたって小学校の教室で昼休みに自由に子供たちとふれあいました. ロボットは日本語を話し、無線タグによる個人識別機能をもとに、子供たちの名前を呼びます. また見かけ上の学習機構により、対話内容を一人一人に適応させることもできます.
    実験の結果、一部の子供たちはロボットを友達とみなし、長期的に相互作用を続け、友好的な関係を築くことができました.このような長期的な相互作用が可能になると、たとえば子供たちの遊び相手になりながら子供たちを見守るようなロボットの可能性が現実的になると考えられます.

    発表論文 (PDFファイル):
  • 対話型ロボットによる小学校での長期相互作用の試み
    (ヒューマンインタフェース学会論文誌 2005.)
  • EEE1

    EEE2
    実験の様子

    BUTTON 科学館

    ロボット(Robovie)が来館者とコミュニケーションしながら展示物を案内する実証実験を行いました. 科学館内には、個人識別のための無線タグ読み取り機とロボット誘導用のカメラから・ネるユビキタスセンサネットワークを構築しました. ロボットは、各センサから得られる情報を利用して、人間の位置および行動履歴を取得し、それに応じた展示物の案内・説明をし、また近くにいる人の名前を呼んだり、握手をしたりしました.
    2ヶ月間の実験期間中、科学館を訪れたのは9万人以上、うち1 万人以上の来館者に無線タグを身に着け、館内を見学していただきました.アンケートの結果,全般に好評を得ました.
     
    さらに,ロボットの対話行動を変えて、比較実験を行いました.

     (条件1)案内タスクのみを行う
     (条件2)子供の遊びのような相互作用行動のみを行う
     (条件3)案内タスクと子供の遊びのような相互作用を行う

    上記3条件における比較実験を1週間にわたって行った結果、ロボットはどの条件でも高い主観評価を得ましたが,(条件3)のロボットの遊びのような相互作用と展示案内行動の双方を兼ね備えた場合が,最も来館者らの科学技術に対する興味を向上させることがわかりました.

    発表論文 (PDFファイル):
  • Interactive Humanoid Robots for a Science Museum
    (IEEE Intelligent Systems, 2007)
  • RFIDタグを用いたコミュニケーションロボットによる科学館での展示案内
    (日本ロボット学会誌 2006)
  • SCI
    実験の様子


    KAGAKUKANPLAN
    科学館平面図


    BUTTON

    現在の対話ロボットは,センシングの困難さゆえにあまりインタラクティブ性が高くなく,高度な対話が行えないことが問題となっています.しかし、ロボットを情報伝達のためのメディアであるとすると、必ずしも高いセンシング能力は必要ではありません.

    我々はこれまでに、複数のロボットが会話する様子を見せることで情報を伝達するPassive-social medium(社会的受動メディア)というアプローチを提唱してきました.本研究では、ロボットが情報伝達を目的とするメディアとして振舞うときに、このPSM方式の有効性、そしてセンサを利用してインタラクティブに振舞うことの必要性について検証する為に、電車の駅での8日間のフィールド実験をおこないました.

    実験の結果は、PSM方式の有効性を示した一方で,センサ利用の有効な面,有効でない面の双方を示すものでもありました.

    発表論文:

  • Humanoid Robots as a Passive-Social Medium
    - A Field Experiment at a Train Station

    (HRI2007)
  • TAKAYUKIPHOTO

    ROBOVIE-STATION2.JPG
    実験の様子

    「人らしいロボット」のための相互作用のモデル化研究



    BUTTON身体動作の相互作用解析

    人間型の身体を持つロボットの評価に関して,私たちはこれまでにも主観的評価や観察に基づく分析を行ってきましたが, さらにこの研究を進め,モーションキャプチャシステムを用いて得られた正確な身体動作に関する相互作用のデータを分析することで ,相互作用の解析を行うことを試みました. この数値的に得られた身体動作を元に,対ロボット距離,移動距離といった,人の行動を解析し,ロボットに対する主観的評価と比較したところ ,アイコンタクトや手先の動きの同調といった人とロボットの間で協調的に行われる行動と主観的評価の間に相関が見いだされました.
    このような身体動作に関する知見や,身体動作に基づく相互作用の解析方法は,将来的に日常生活の中で活動するロボットを作る上で重要になると考えます.

    発表論文 (PDFファイル):
  • Body Movement Analysis of Human-Robot Interaction
    (IJCAI2003)
  • 人-ロボット相互作用における身体動作の数値解析
    (情報処理学会論文誌 2003)
  • BMA-SCENE
    BMA-CAPTURED
    モーションキャプチャシステム

    BUTTON注意誘導モデル

    人間は、指をさしたり、「これ」や「あれ」などの指示語を使って、ふだん話しています. 注意誘導モデルとは、ロボットが指し示したい物体に相手(人間)の注意を誘導できるように、判断のプロセスをロボット用に定式化したものです.

    我々はまず人間同士の対話行動の分析を行い、 分析をもとに指差しと指示語を用いた三段階注意誘導モデルを構築しました.

    我々が提案する三段階注意誘導モデルは、 以下の三つのサブモデルで成り立ちます.

    (1)指示語決定モデル
      ロボット・人間・物体の位置関係から適切な指示語を決定する
    (2)限界距離モデル
      指差しと指示語のみで物体の特定ができるかどうかを判断する 
    (3)属性決定モデル
      特定が困難な場合に物体に関する必要な属性の情報を得る 

    このモデルを、コミュニケーションロボット"Robovie"に実装し、検証実験を行った結果、複数の物体が存在する環境で、システムを用いて対話相手の注意を目的の物体に誘導することは可能であること、また指示語を用いることですばやく注意の誘導ができることが明らかになりました.

    発表論文 (PDFファイル):
  • コミュニケーションロボットのための指さしと指示語を用いた3段階注意誘導モデル
    (日本ロボット学会誌 2006.)
  • YUBISASHI
    黒と白のゴミ箱を用いた実験

    YUBISASI3

    BUTTON生き物らしいロボット

    ロボットと人との円滑なコミュニケーションを実現するには、その前提として相手となる人に 「ロボットがコミュニケーションする対象となる存在である」と心理的に感じさせる必要があり,それにはロボットに 「生物らしさ」を感じさせる事が重要であると,我々は考えます.
    発達心理学では「幼児は発達の過程で7つの特徴に基づき対象物がanimate(生物) とinanimate(非生物)かを区別するようになる」という知見が報告されています.我々はこの知見を基にして, 「生物らしさ」を感じさせるロボットを実現するために、ロボットがこの7つの特徴を満たすようビヘービア(対人行動) を設計しました.そして,実際に人とインタラクションを行うことにより,設計したロボットがどのように評価されるか検証を行いました.
    実験の結果,7つの特徴を満たすロボットが最も知的で生物的であり,そしてコミュニケーションをとれたと感じるという良い評価を得ることができました.

    発表論文 :
  • Lifelike behavior of communication robots based on developmental psychology findings
    (Humanoids2005)
  • LIFELIKE


    BUTTONロボットの外見の影響 -ASIMO と Robovie-


    異なる外見を持つ二つのヒューマノイドロボットASIMOとRobovieに対する人間の行動の違いに関する実験を行いました.二つのロボットはモーションキャプチャシステムを利用して同じ動作・するように統制され、挨拶、自己紹介、指差しを含む案内、誘導といった初対面の簡単な対話における被験者の反応行動と印象が計測されました.さらに,ロボットと対比するために人間も同じ動きと発話を行いました.実験の結果、
    予測どおりASIMOはRobovieよりも良い印象を与えたにもかかわらず、これらロボットに対する被験者の行動にはあまり差が見られませんでした.

    発表論文(PDFファイル) :

    A1S.JPG A2.JPG - 48,717BYTES
    ASIMO

    R1S.JPG - 40,934BYTES R2.JPG - 52,261BYTES
    Robovie

    ロボビーの評価



    日常生活の場で活躍するロボットを開発するためには、そのロボットの評価尺度が必要です.例えば、産業用ロボットに、速度や精度といった評価尺度があるように、日常活動型ロボットにも 「いかに人間に影響を与えるか」といった評価尺度を設定する必要があります.そこで、十分な身体表現能力を持つRobovieと実装した自律行動の性能を評価するための実験を行いました. 評価は「ロボットへの印象」「ロボットに対する行動(発話やゼスチャ、無意識の行動など)」の2点に関して行いました。 31名の被験者による実験結果から、ロボットの行動パターン(受動的、能動的など)に関する比較や、ロボットに対する 接触部位や対人的行動に関する知見を得ることが出来ました.

    発表論文 (PDFファイル):
  • 人間と相互作用する自律型ロボットRobovieの評価
    (日本ロボット学会誌, )
  • Development and Evaluation of an Interactive Humanoid Robot "Robovie"
    (ICRA 2002)
  • B-PATTERN
    行動パターンの比較

    TOUCH
    接触部位に関する知見

    人−ロボット対話におけるロボット同士の対話観察の効果



    将来的にロボットが社会の中に多数存在するようになったときに、ロボット同士の通信は人間に見えない手段 (無線や赤外線など)によって行われるようになると考えられます。しかし、このようなロボットは少なくとも見かけ上は音声やゼスチャといった 人間の理解可能な方法によって通信することが必要なのではないか、と私たちは考えています。

    このような考えから、関係の輪に基づくコミュニケーションモデルを考案しました。このモデルにおいては 、ロボット同士が環境中の物などに関する会話を行うことで、ロボットの観察者は後にロボットとコミュニケーションする際に、 ロボットとコミュニケーションが容易になるとともに、ロボットが環境中の物と相互作用できることを理解します。 私たちは実際に2台のロボット(Robovie)を用いて、ロボット同士の対話システムを実現しました。また、ロボット同士が対話する実験を行い、 ロボット同士が環境中の物と相互作用しながらコミュニケーションすることの効果を示しました。

    発表論文 (PDFファイル):
  • 人-ロボットの対話におけるロボット同士の対話観察の効果
    (信学論, 2002)
  • Multi-robot Cooperation for Human-Robot Communication
    (ROMAN 2002)
  • RELATION-CHAIN
    関係の輪に基づくコミュニケーションモデル

    POINT1
    ロボット−ロボット対話

    POINT2
    人−ロボット対話

    "Episode Rule"によるインタラクション記述



    状況依存モジュールの実行制御のためにEpisode Ruleと名付けたルール記述を開発し、このルールの開発ツールEpisode Editorを利用してロボットの過去の経験を可視化することで開発者が容易にEpisode Ruleを見いだせるようにする研究を行っています。

    発表論文 (PDFファイル):
  • A constructive approach for developing interactive humanoid robots
    (IROS 2002)
  • EE2
    Episode Editor

    街ロボット(1997.4-2000.3@京都大学)




    TOWNROBOT
    サイズ 直径60cm,高さ130cm
    稼働部 頭部カメラ(3 DOF)、その場回転可能な移動機構(2 DOF)
    センサ 両眼カメラ、全方位カメラ、接触センサ、超音波センサ
    OS Realtime Linux
    ソフトウェアアーキテクチャ Situated module architecture
    状況依存モジュール数 30












    BUTTON 状況依存モジュールを用いた移動ロボットの行動制御

    (1)屋内動作実験  漸次的に行動モジュールを追加する状況依存モジュールによる開発手法により屋内でロボットを誘導しました。 このために約30のモジュールが作成されました.

    (2)屋外動作実験  屋外環境は屋内環境に比べて太陽光や複雑な形状の構造物といった理由で視覚センサを用いて行動するのが難しく、 さらに通行人・放置自転車などの障害物も多くなります。このような複雑な環境でも状況依存モジュールによる開発手法 によってロボットを安定して誘導することが出来ました。

    発表論文 (PDFファイル):
  • 状況依存モジュールに基づくロボットの一開発手法
    (ロボティクスシンポジア'99)
  • A Robot Architecture Based on Situated Modules (IROS'99)


  • INTERACTION

    BUTTON 人-ロボットインタラクションの評価

    将来的に人間社会で活動するロボットには人とインタラクションする機能が欠かせません。 状況依存モジュールによる開発手法に従って、人のほうを向く、人についていく、 カメラ方向を変化させてロボットの意図を表現するといったインタラクション機能を実装しました。  

    *インタラクションとは、人間がロボットに単に命令を与えるようなコミュニケーションではなく、 人間同士が対話するように自然な対話を行うことを意味する[実験1]

    (1)印象評価実験
     

    このようなカメラ方向の変化が人間-ロボットインタラクションにもたらす効果を測定するために、ロボットの与える印象の違いを評価しました。
     66名の被験者による評価の結果、視線制御(カメラ方向制御)はロボットの動きを活発で 愉快なものにすることがわかりました。また、コンピュータスキルの高い被験者ほど視線制御の有無による印象の違いを大きく感じました。

    発表論文(PDFファイル):
  • 人間ロボット間相互作用に関わる心理学的評価 (日本ロボット学会誌, Vol.19, No.3)
  • (2)時計台実験

    京都大学の時計台付近でロボットを動作させ、人間とのインタラクションを試みました.

    CLOCKTOWER

    Last update June 13, 2016