計画研究

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計画研究 A01-1

人とかかわる共生型ロボットのためのロボットの適応的要素行動

計画研究 A01-1 人とかかわる共生型ロボットのためのロボットの適応的要素行動
研究代表者 松本吉央(産業技術総合研究所・研究グループ長)
研究分担者 石黒浩(大阪大学・教授)

宮尾益知(国立成育医療研究センター・医長)

中村泰(大阪大学・助教)

住谷昌彦(東京大学・助教)

脇田優仁(産業技術総合研究所・主任研究員)

研究内容の概要
擬人的な外見や身体機構をもつロボットが実現されつつあるが,従来実現されたロボットの多くは,物理作業を目的に設計され,正確な位置制御や,高速な移動,物を把持するための力制御,といった視点で制御手法が研究されてきた.しかし,共生型ロボットには,これらに加えて,人と豊かに関わるコミュニケーションの機能が重要となる.

 

研究代表者らは,生き物に特有の現象である「ゆらぎ」をロボットに取り入れるための研究に取り組んできた.アンドロイドが人の話を聞く際の“うなずき”や“微笑み”などの表情を,ゆらぎの概念を取り入れながら周囲の人間と同期させることが,コミュニケーションの満足度や安心感の向上につながることを見出した.この知見を発展させ,発話情報と身体動作の同調やタイミングを考慮し,人間らしい存在感を表現する.これらの機能を実現する上での困難は,予測不能な人間の行動に対応することにある.従来の制御手法に加えて,この予測不能な人間の行動に適応する手法を取り入れることで,人間に適応性の高いシステムを実現する.ゆらぎは,生物に特有の生体ノイズを利用した問題解決の手法であり,ファジー制御等の従来の工学的手法よりも高い問題適応能力を持つと期待されている.

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計画研究 A01-2

ユビキタスセンサに基づく対話行動認識プラットフォーム

計画研究 A01-2 ユビキタスセンサに基づく対話行動認識プラットフォーム
研究代表者 萩田紀博(国際電気通信基礎技術研究所・所長)
研究分担者 塩見昌裕(国際電気通信基礎技術研究所・研究員)
連携研究者 内海章(国際電気通信基礎技術研究所・主任研究員)

西尾修一(国際電気通信基礎技術研究所・主任研究員)

研究内容の概要
人間行動認識に関する研究を行う.有用性が明らかになってきたユビキタスセンサを連携させる「ネットワークロボット」のアプローチにより研究を進める.研究代表者らは,レーザレンジファインダとカメラを連動させ,5cm 以下の誤差での人の位置計測と,歩いている,走っているといった移動行動の認識が可能な環境情報構造化プラットフォームを既に実現した.

 

この研究をさらに進め,内海らが研究を進める視線方向の検出手法を組み合わせることで,移動する人々の,対話行動認識の研究へと進める.ロボットと話したいという意図を検出する技術を実現し,対話相手を見つけ,近づき,話しかける,といったロボットの行動を実現するための対話行動認識プラットフォームを実現する.人々の行動パターンを動的に構造化し,様々な環境で,適応的に対話相手を見つけることを可能にする.これにより,家庭,学校,高齢者施設など,異なる特性をもつ人々が行動する環境においても,ロボットが対話を必要とする相手のところに寄ってきて会話を始めることができるようになる.

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計画研究 A01-3

ロボットのコミュニケーション戦略の生成

計画研究 A01-3 ロボットのコミュニケーション戦略の生成
研究代表者 前田英作(NTTコミュニケーション科学基礎研究所・部長)
研究分担者 堂坂浩二(秋田県立大学・教授)

南泰浩(NTTコミュニケーション科学基礎研究所・主任研究員)

研究内容の概要
NTT コミュニケーション科学基礎研究所では,これまで,人の発想を支援,誘導したり,思考を喚起させたりする対話処理の研究を行ってきた.テキスト対話処理技術,音声認識技術を利用し,現在の技術範囲で可能な,自然な音声対話を実現した.

 

こうした既存技術を活かし,クロスモーダルな対話を実現するため,多種の情報を統一的に扱う計算モデル,そこから最適な意思決定を求めるための統計的な生成モデルを検討することにより,人に対して適切な働きかけを行う環境システムの構築をめざす.

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計画研究 A02-1

ロボットとの随伴性と対話関係構築

計画研究 A02-1 ロボットとの随伴性と対話関係構築
研究代表者 板倉昭二(京都大学・教授)
研究分担者 開一夫(東京大学・教授)

植田一博(東京大学・教授)

研究内容の概要
研究代表者らは,世界に先駆けて,対話ロボットに関する認知実験を行ってきた.例えば,赤ちゃんを用いた実験では,随伴的なロボットとそうでないロボットを人間と比較して提示することで,随伴性が対話相手と見なされるために必要な要素であることを見いだした.また,人間型ロボットが視線を伴った動きをした場合には,ロボットが

失敗した作業も,子どもが模倣することを見いだし,ロボットにとっての視線の重要性を見いだした.これらの先行研究のように,対話関係が構築されるエッセンスはどこにあるのかを見いだすための研究を,モーションキャプチャやアイマークレコーダといった行動認知的な解析手法と,NIRS(近赤外分光法)やEEG(脳波計)といった脳活動計測装置を使った認知神経科学的な解析手法を組み合わせることで解析を進める.ロボットが人と関わる際の,人の認知モデルを作り上げる.特に,実データに基づいた人間-ロボット相互の随伴性の数理的モデルの構築を目指す.

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計画研究 A02-2

ロボットとの信頼関係と振舞い

計画研究 A02-2 ロボットとの信頼関係と振舞い
研究代表者 今井倫太(慶応大学・准教授)
研究分担者 小嶋秀樹(宮城大学・教授)

野村竜也(龍谷大学・准教授)

小野哲雄(北海道大学・教授)

大村廉(豊橋技術科学大学・講師)

研究内容の概要
研究代表者らは,共生の根幹に存在する,共感や身体動作の同期的振舞い,といった高次の関係性を創出するメカニズムを明らかにし,それをもとに相互作用デザイン手法を提案してきた.世界に先駆けて,ロボットと人間の間で共同注意が成立することを見出し,その振舞いをモデル化した.ロボットという人工物に対しても,人同士が起こすような共感が生じることも明らかにした.自閉症児との長期相互作用を通して,ロボットが人間と関係性を構築するためのデザイン要素を明らかにした.

 

以上の共同注意・共感・関係性に関する知見を発展させることで人間の認知的特性の観点から,人々と信頼関係を構築するための,振舞いモデル・相互作用モデルを構築する.擬人化されやすい外見を持つロボットは,身振りや視線によって対話の文脈を作り出し,互いが徐々に歩み寄るような対話を演出できる特徴を有する.対話の演出を中核として,人々と信頼関係を構築する対話技術,長期的なロボットの受容を可能とする相互作用デザインについて研究する.さらに,信頼関係形成を阻害する対話不安要因についても分析をすすめ,信頼関係を構築する対話モデルを考案する.

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計画研究 A03-1

ロボットによる協調学習支援と学習コミュニティの形成

計画研究 A03-1 ロボットによる協調学習支援と学習コミュニティの形成
研究代表者 三宅なほみ(東京大学・教授)
研究分担者 大島純(静岡大学・教授)

白水始(中京大学・准教授)

中原淳(東京大学・准教授)

研究内容の概要
研究代表者らは,協調的な認知過程がなぜ知的創造性開発や学習の促進に有効か,協調活動の過程のメカニズムを探ってきた.そこから,協調過程が,参加するひとりひとりの理解や学習を深化させ,協調するコミュニティ全体の知的活動レベルを上げる可能性を見出した.三宅,白水はこの知見に立って協調活動促進型のカリキュラムとIT による支援ツールを開発し,大学の授業で実践して成果を上げた.大島は掲示板を利用したIT 環境を小学校に設営し,有効性を確認した.中原は,学外での学び,特にワークショップ形式による学びの先端的な研究を展開している.いずれの研究も,学習の現場を長期に亘って設営,実施し,そこで起きる過程を分析して次の実践に結びつけるアクション・リサーチ型の研究方法により,異なる学習者層に対して共通する学習原理を見出してきた.

 

これらの共通原理を基に,ロボットを介して,人と人との協調過程が促進できるかを検討する.ここでのロボットの役割は,ロボット側からの一方的な情報提示ではなく,有効な協調過程には必ず見られる機能を果たすことである.グループの各参加メンバーが持つ「考え」(初期仮説)のスムーズな外化,仮説の共有と協調的吟味の支援,吟味に必要な付加情報の提示などの役割を,適切なタイミングでロボットが提供し,その効果を検討する.また学習科学の従来研究からは,このような機能を果たしやすい「他者」と,そうでない「他者」の存在が示唆されている.ロボットをどのような「他者」として協調過程に参画させるかによって,ロボットが果たし得る学習支援装置としての役割の有効性を実証的に検証する.実践的な観察データを蓄積した後には,それらを分析し,より精密な協調学習理論の構築を目指す.

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計画研究 A03-2

ロボットが人々から会話を学ぶ

計画研究 A03-2 ロボットが人々から会話を学ぶ
研究代表者 宮下敬宏(国際電気通信基礎技術研究所・室長)
研究分担者 神田崇行(国際電気通信基礎技術研究所・主任研究員)
研究協力者 Dylan F. Glas(国際電気通信基礎技術研究所・研究員)

佐竹聡(国際電気通信基礎技術研究所・研究員)

研究内容の概要
研究代表者らは,これまでに,対話ロボットの研究

に取り組み,言語的行動と非言語的行動を統合的にビヘイビアとして扱い,ロボットの自律的な対話を実現する状況依存モジュール法を提案するなど,その基本的なメカニズムを明らかにした.さらに,ロボットが自律的に対応できない難しい状況において,人間のオペレータの支援を仰ぎ,その結果をロボットのさらなる自律化に利用するという,遠隔操作に基づく対話ロボットの開発方法論を提唱し,ショッピングモール環境での長期的実験において,その有効性を実証した.

この従来研究の成果を発展させ,人々との学び合いの場面において,遠隔操作の履歴を構造化することで,ロボットの自律性を徐々に向上させる.会話に参加し,意見を引き出すための言語的・非言語的ふるまいを学習させる.つまり,「会話の仕方」をロボットに学ばせる研究に取り組む.計画研究A03-1 と密接に連携し,人々の協調過程を支援する実証実験に,開発したロボットを利用する.

その後,協調過程での,望ましいロボットの振舞いを,遠隔操作の履歴から獲得するための研究に取り組む.つまり,人々の学び合いに参加する中で「会話の内容」を学ぶ研究を進める.その基盤となるセンサ履歴の蓄積に関しては,環境情報構造化プラットフォームの実現など高い実績を持つ.本研究では,その構造化の対象を,人の位置や行動といった従来のロボット工学で扱ってきたセンサ情報に加えて,会話の文脈も含めた高次の情報に拡張する.これにより,「考え」を外化した結果の知識データベースが,センサ情報と対応付けられる形で実現される.音声・言語認識は当面は代替技術として遠隔操作により行うが,将来,音声・言語認識が高度化すると,本計画研究の方向は,ロボットの高次の「自己学習能力」につながる.ロボットの周りでやりとりされる人々の「考え」が,自動的にセンサ情報と結び付けられてゆくことで,今は人間しか持つことができない「考え」をあたかも持つようなロボットの実現につながる.

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